
近年、中国発のアートトイブランドPOP MART(ポップマート)が広めた
ブラインドボックス(盲盒/máng hé)文化は、若者を中心に爆発的な人気を誇っていますね。
「どのキャラクターが出るかわからない」というドキドキ感と、コレクション性の高さが魅力ですが、一方で社会問題としての側面も見逃せません。
フリマサイトを見ていると、出品者のコメント欄に「お目当ての子ではなかったので」と書かれているのをよく見かけます。
「お目当ての子じゃない子はいらない・・・」か。
そして出品されている種類には微妙ですが偏りが見られます。
例えばスカルパンダで言うと「目を閉じている子が多く出品されているな」とか「地味カラーの子が多いな」とか。(あくまで主観なんですけれど)
この記事ではブラインドボックス文化の特徴、発生するごみ問題、そしてPOP MARTの取り組みを私なりに解釈してわかりやすく解説したいと思います。
環境や社会問題に敏感な若い世代のみなさん、今後の持続可能なコレクション文化のあり方を一緒に考えてみませんか。
1. 中国で爆発的に広がる「ブラインドボックス文化」
「盲盒(máng hé)」とは文字通り「中身が見えない箱」を意味します。
ガチャガチャより高級で、デザインやアート性を重視した商品として、Z世代やミレニアル世代の心を掴んでいます。
POP MARTのブラインドボックスは、Crybaby、Labubu、Skullpandaなどの人気キャラクターをランダムに封入。
「推しが当たらない」「何度も買ってしまう」「希少キャラが欲しい」という心理がコレクターを熱狂させ、SNSでは日々「#盲盒」タグが投稿されます。
一方で、この文化の急拡大により大量の余剰商品やパッケージごみが発生することが社会問題になっています。
2. 「盲盒ごみ」問題とは?
ブラインドボックスは1つ1つが小さなフィギュアとパッケージに包まれています。
当たったキャラクターが気に入らない場合、ユーザーは不要なものを捨てることも多く、
では「#盲盒垃圾(盲盒ごみ)」がSNSトレンドになるほど話題です。
さらに、希少キャラクターを求めて大量購入することで、家庭や街にフィギュアの残骸や箱が溢れるケースも報告されています。
こうした現象は、消費文化が環境に与える影響を象徴する問題として、若者の間でも議論されています。
メディアや番組(例:PIVOTでの紹介)では、POP MARTがこの余剰問題に対してどのように取り組んでいるかも取り上げられています。
POP MARTの「リサイクルボックス」プログラムとは?
中国のトイブランド POP MART(ポップマート) は、不要になったフィギュアやパッケージを回収する「Recycle Box(リサイクルボックス)プログラム」を一部店舗で実施しています。
この取り組みは、2023年6月5日の世界環境デーに合わせて
POP MARTの公式WeChat(微信)アカウントで発表されたもので、
店舗内に設置された専用ボックスへ不要なブラインドボックスのパッケージや
プラスチックケースなどを入れることで、素材の再利用や資源化処理が行われるという内容です。
※公式WeChat(微信)アカウントとは、日本で言うとLINEの企業の公式アカウントのようなものです。
为了让泡泡迷们更好地参与环保行动,泡泡玛特正式推出“环保回收箱计划”。消费者可以将不需要的盲盒包装盒、塑料外壳等投入门店内的回收箱中。回收的材料将用于环保再生利用,部分物料将交由专业机构进行资源化处理。
日本語訳:ファンが環境保護活動により積極的に参加できるよう、
POP MARTは「リサイクルボックスプログラム」を正式に開始しました。
消費者は不要になったブラインドボックスのパッケージやプラスチック容器などを
店内の回収ボックスに投入できます。
回収された素材はリサイクル再利用され、一部は専門機関により資源化処理が行われます。
このプログラムは単なる環境対策にとどまらず、
「浪費ではなく、持続可能なコレクション」という理念を体現する試みとして注目されています。
POP MARTはブランドとして、コレクター文化における社会的責任を果たす姿勢を打ち出しているのです。
参考:POP MART Official Website – Sustainability
補足:POP MART公式CSR方針(Corporate Social Responsibility)企業の社会的責任
出典: POP MART Official Website – Sustainability Section
引用:
POP MART is committed to reducing environmental impact through responsible packaging and recycling initiatives in its stores.
日本語訳:
POP MARTは、店舗での責任あるパッケージングおよびリサイクルの取り組みを通じて、環境への影響を減らすことに努めています。
4. 若者の環境への意識は高まっている
Z世代や若者は、単に推しキャラクターを集めるだけでなく、社会問題や環境への影響も意識し始めています。
盲盒文化は、一見楽しい消費体験ですが、大量購入・廃棄・転売といった行動が社会に与える影響も無視できません。
この問題を真剣に考えることはとても重要だと思います。
「好きなものを楽しむ」と「持続可能な消費」が両立できてはじめてこの世界がより良く住みやすくなるのかもしれません。
5. 盲盒文化の未来と持続可能な楽しみ方
近年、盲盒(ブラインドボックス)文化は単なるコレクションの枠を超え、
「持続可能な楽しみ方」を模索する動きが広がっています。
大量生産・大量消費から一歩進んだ、環境と共存するコレクター文化として注目されています。
回収・リサイクルプログラムの拡大
中国国内では、POP MART(ポップマート)をはじめとする企業が、盲盒のパッケージや不要になったフィギュアを回収する「リサイクルボックス」を設置する取り組みを進めています。 これにより、廃棄プラスチックを減らし、再利用資源として新たな製品に生まれ変わらせる試みが進行中です。
出典:Global Times(2023年12月)によると、POP MARTは北京市を中心にリサイクル拠点を拡大中。
環境に優しいパッケージ素材
近年は、再生紙やバイオプラスチックなど、環境負荷を抑えたパッケージ素材を導入するブランドも登場しています。
盲盒の「開封のワクワク感」はそのままに、資源循環を意識したデザインが求められています。
コレクターにできる3つのアクション
- 買いすぎない:購入計画を立て、衝動買いを避ける
- 譲渡・トレードを楽しむ:ダブりアイテムはSNSやイベントで交換
- 回収ボックスを活用する:不要品を正しくリサイクルに回す
こうした行動が広がることで、盲盒文化は「捨てる楽しみ」から「つなげる楽しみ」へと進化しつつあります。
楽しみながら社会に貢献するカルチャーへ
盲盒はわくわく感や「驚き」を提供してくれる娯楽ですが、その裏にある環境問題に目を向けることで 楽しみながら社会に配慮する、そんな新しいカルチャーのかたちが少しずつ根づいてきています。
一方で、盲盒文化の広がりとともに、「キャラクターが資産化していく現象」も起きています。 もはや“好きだから買う”ではなく“価値が上がるから買う”という新しい消費心理が生まれつつあるのです。 その変化が本来のキャラクター文化にどんな影響を与えるのか——次の記事で詳しく考察します。
▶ 続きはこちら:「ラブブが資産価値化する時代に、キャラクターを“楽しむ”とは何か」
まとめ:盲盒ごみ問題とPOP MARTの挑戦
POP MARTのブラインドボックス文化は、若者に夢とワクワクを提供する一方で、
余剰商品の廃棄問題という課題も抱えています。
「#盲盒垃圾」が示すように、消費文化は社会や環境と密接に関わっていることを理解するきっかけです。
POP MARTのリサイクル活動は、楽しみながら持続可能性を考えるモデル。
私たちは、この世界においてコレクション文化と環境意識を両立させていく必要があります。